鎖骨を噛む





昨夜は、孤独じゃないって思えたのに、ちょっと寝て、起きると、もう無くなってる。不思議だなあ。寝ている間に何か、無意識のうちに考えてて、その結果、私の脳内コンピューターが、「私は孤独よ。」って結論付けたのかしら。



私は孤独なブスだ。



それなのに、こうして歯を磨いて、髪をとかして、メイクをする。メイクって醜い自分を隠す、仮面のようなものなのかもしれない。



今日はバイトの日。きっとムルソーさんが撮影データを回収に来るはずだ。部屋を少しでも掃除しておこうかと思って、辺りを見回してみたけど、ものの見事に閑散としてて、まるであと3日後に引っ越していくみたいな、最低限のものしかない部屋。女子力ないな、ホント。



机の上に昨日、100均で買った大学ノートとボールペンを置いた。私は今一度、鏡で、一夜漬けのテスト勉強のように、顔を確認して、おかしいところがないかチェックした。出せばキリがないコンプレックスの塊だけど、まあ、これなら赤点はないだろうなって思う所までは持って行かなきゃいけない。



カメラの前に座った。なぜか正座。



「お疲れ様です。ムルソーさん。」




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