鎖骨を噛む
「あの……私、明日、17:00から21:00までバイトなんですけど、その間に、何か訊きたいこととか、伝えたいことがあれば、紙に書いて、机の上にでも置いておいてくれませんか? なんだったら、電話番号を教えましょうか?」
私はカメラに向かって、自分のケータイ番号を言った。そして、スマホの前でじっと待った。かかって来ないかどうか、待った。
でも、気づいたんだ。盗撮してるって言っても、結局、リアルタイムで見てるわけじゃないんだろうなって。多分、SDカード的なものを後日、取りに来るんだろうなって。そして、私の今言った独り言は、きっとその時、独り言じゃなくて、盗撮魔さんへの伝言になるんだろうなって。
私ってやっぱりバカだわ。ホント、嫌になっちゃう。穴があったら入りたい。でも、そんなものはないから、とりあえず、カラーボックスの入った押入れに入る。でも、なんか洋服特有の匂いが気持ち悪くて、すぐに出た。