鎖骨を噛む
質問を続けよう。
「歳はいくつ?」
「今年で23になります。」
年相応だ。
「で、仕事は?」
「フリーターです。」
これは意外だった。でも、都合はいい。フリーターは、仕事場に行かなくていい。だから、突然の失踪に疑問を呈する人はいない……いや、いる!
「あなた、一人暮らし?」
「はい。一人暮らしです。吉祥寺に住んでます。」
良かった。これで実家暮らしだったら、家族に捜索願を出されるところだった。私はツイている。おっと! 大事な質問を忘れていた。
「彼女はいるの?」
「いないです。」
一番良かった答え! 彼女がいないってことは、今、この状況で彼が惚れるのは、私以外誰もいない。私は健司独占の権利を得た!