鎖骨を噛む





「それからその子とは、自然消滅しました。キスの味を知ったのは、高校の時です。1年とちょっと付き合いました。天真爛漫な明るい子で、野球部のマネージャーをしていました。」



「その子とはどこまでいったの?」



「まあ、キスと、それに毛の生えた程度ですかね……。」



「そうなの。」穢れてるんだ。



「それで、絵の勉強をしようと美大に通うために上京して、4年で卒業しました。」



「え? 美大行ってたの?」



「はい……まあ、結局、何かで賞を獲るわけでもなく、普通に卒業して、フリーターになっちゃいましたけど。」



私はいいことを聞いた。



「じゃあ、私を描ける?」



「描けません。」



即答だった。




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