鎖骨を噛む
私は彼を思いっきり蹴った。彼の身体はベッドからずり落ちた。
「いい加減にしなさいよ。一体どこまで私をコケにすれば気が済むの?」
「ほら怒った!」暗くてよく見えなかったけど、彼は負けじと顔を上げたように見えた。
「図星じゃないですか。あなたは怖いんだ。裏切られることが。だから、自分を信じてくれる人だけを見極めて、でも、信じることはしない。何か理由を付けて、浅い付き合いを繰り返しているだけなんだ! だから、相手もそれに気づいて離れて行く。そして、回り回っていつものように孤独になる。そんな生き方してると、あなたは天涯孤独だ!」
「うっさい!」私は電気をつけて、彼の頬を叩いた。
「あんたに私の何がわかるって言うのよ!」
「わかりますよ!」彼は顔を上げた。
「あなたは誰かを求めている。寂しいんだ。それは好きとは違う。あなたはただ、自分を信じて欲しい人を求めているだけなんだ。でも、自分が信じなきゃ誰も信じてくれない!」
「そんなのわかんないじゃないの!」
「だから!!!」彼は声を張り上げた。
「だから……あなたが信じてくれたら、僕が信じてあげますよ。あなたが望むなら、一緒にいてあげますよ。僕で良かったら。」