僕等の法則
学校に近づく所で愛理はさくらに追い付いた。
「足速いって、さくら。」
愛理は息がとても上がっていてたいへんな事になっていた。
「だって…私、一兄以外の男とは会話をした事が無いから。」
さくらはすこし落ち込んだようなトーンで話した。
「でも、工藤っていいやつやん。顔も良かったし!」
愛理が楽しそうに話す。
「校則違反してるし。」
「でもさくらのあの笑顔は久し振りに見たなぁ。」
愛理はさくらの顔を覗き込むようにして話を進めた。
今会った彼にはさくらを安心させてくれる何かを感じていたのは事実だった。
「友達になれたら…いいかもね。」
さくらは愛理に言った。
その予想外のさくらの言葉に愛理は
「そうこなきゃ!じゃあ早速メアドを交換やな。」
と一人はしゃいでいた。
しかしさくらは不安だった。
本音で言うとさっきの彼の無邪気な笑顔に一瞬心が揺れたのも事実。
もしこの気持ちが『恋』なんかになってしまったら……
さくらが一人悩んでいると
「さくらー、遅刻しちゃうよ。」
と愛理が声を掛けてくれた。
「今行く。」
こうしてさくらと優馬の関係は少しずつ出来ていった。