世子様に見初められて~十年越しの恋慕
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朝露に輝く陽の光。
眩いほどの光を放ち、景福宮は荘厳な空気を纏う。
王様の長年の憂いを断つため、勤政殿へと足を踏み入れた。
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「王様のおなり」
険しい顔つきで玉座に腰を下ろした王は、臣下をゆっくり見回す。
「拝謁致します」
臣下が一斉に拝礼する。
次々と上奏文を読み上げ、王は的確に裁く。
白髪混じりの顎髭を撫でながら、鋭い目つきで王を見据える領議政チョ・ミンジェ。
重鎮である風格を漂わせ、他の者とは別格の存在感を醸し出している。
玉座の少し左前方が世子の位置。
ヘスは王の問いかけに答えながら平常心を保ち、領議政の出方を探っていた。
「他には……、何かあるか?」
王の合図でヘスは立ち上がる。
「王様」
「世子、何かあるのか?」
朝議の場にいる高官達の視線が一斉にヘスに寄せられた。
「申し上げます」
ヘスは体を王の方へ傾け、一礼した。
「忠清南道近郊での盗賊討伐の件、清州一帯の水害の件、それから救済金の一部が消えた件、更にはそれらを調査中に、許可の下りていない鉄鉱石の採掘場及び鋳造所に関する一連の報告致します」
ヘスの言葉に勤政殿内はどよめく。
次々と明かされる事柄に高官達の顔色がみるみるうちに変わっていく。
顔を見合わせる者。
耳打ちしながら、言い訳を探る者。
事の次第に焦り、青ざめる者。
そんな輩を見据え、目を輝かせる者まで。
「…ー…水害に見舞われた一帯の堤防は、芯部分に重量のある石を敷き詰め、更に強度の高い粘土質の土を用いて周りを固める手筈が、中に石があるどころか、周りを固める土も水捌けの良い土が使われ、長雨が続いた際には川の決壊が無くとも堤防は崩れる恐れがあります」
「何だと!?」
「重い石を切り崩し運ぶ賃料を着服し、更には工事期間を短縮させる事で浮いた資金をも着服したと思われます」
ヘスの言葉に王はわなわなと震え出し、身を乗り出した。