青野君の犬になりたい
詩織は大学を卒業するとすぐにアメリカにいった。
もともと心臓が弱くて、親父の勧めでアメリカの病院で手術をするために。
そして手術を終えたらまたすぐ日本に戻ってくるはずだった。
でも彼女は帰ってこなかった。
両親に聞いても「元気にやっているようだ」としか教えてくれなかった。
手術から半年が過ぎたころ、詩織から手紙が届いた。
手術は成功して順調に回復していること、意外とアメリカでの生活が自分に合っていること。
初めての海外生活で驚いたことや気に入ったことなど、たわいない報告が続き、そして最後に彼女が日本に戻ってこない理由がつづられていた。
『草汰さんのこと、ずっと好きでした。最初はお兄さんとして。でもそれが恋愛感情に近づいているのが怖くなりました。半分だけ血がつながっている一番身近な異性。異母兄妹の関係ってやっかいですね。肉親なのに、そばにいるとついそのことを忘れる瞬間がある―――
気持ちの整理がつくまで連絡はしません。
でも落ち着いたら必ず連絡するので心配しないでね。こっちで素敵な彼氏と巡り合えることを祈っていてください(笑)。
それでは』
異母兄妹って、本当に中途半端なんだよな。
僕と同じ思いを妹の詩織も経験しているのかと思ったら愛おしくて、僕は詩織の気持ちが解放されるまで恋をしないで待っていようと思ったんだ。
もともと心臓が弱くて、親父の勧めでアメリカの病院で手術をするために。
そして手術を終えたらまたすぐ日本に戻ってくるはずだった。
でも彼女は帰ってこなかった。
両親に聞いても「元気にやっているようだ」としか教えてくれなかった。
手術から半年が過ぎたころ、詩織から手紙が届いた。
手術は成功して順調に回復していること、意外とアメリカでの生活が自分に合っていること。
初めての海外生活で驚いたことや気に入ったことなど、たわいない報告が続き、そして最後に彼女が日本に戻ってこない理由がつづられていた。
『草汰さんのこと、ずっと好きでした。最初はお兄さんとして。でもそれが恋愛感情に近づいているのが怖くなりました。半分だけ血がつながっている一番身近な異性。異母兄妹の関係ってやっかいですね。肉親なのに、そばにいるとついそのことを忘れる瞬間がある―――
気持ちの整理がつくまで連絡はしません。
でも落ち着いたら必ず連絡するので心配しないでね。こっちで素敵な彼氏と巡り合えることを祈っていてください(笑)。
それでは』
異母兄妹って、本当に中途半端なんだよな。
僕と同じ思いを妹の詩織も経験しているのかと思ったら愛おしくて、僕は詩織の気持ちが解放されるまで恋をしないで待っていようと思ったんだ。