青野君の犬になりたい
植物にたとえたら風にさわさわとそよく草。
動物だとしたら草や木の芽を食べて生きる穏やかな鹿。
そんな印象だった青野君は、実は植物風、草食系風なだけだった。
枝豆の次は揚げぎんなんを美味しそうに口に運ぶ様子は、いかにも草食系な面持ちなのだけど。
私はたくさんあったはずの自信を粉々に打ち砕かれて、
惨めな気分にさえなって煤けた茶色いテーブルに視線を落とした。
好きになった人と付き合えることになって、こんなに虚無感を覚えたのは初めてだ。
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