青野君の犬になりたい
「ねえ、もう一回聞くけど、本当に僕と付き合いたい?」
「うん」と小さく答えた。
頷くしかなかった。
私は青野君に恋してしまったのだから。
突然すぎるほど突然に、青野君に心満たされてしまったのだから。

「で、僕と付き合って何したいの?」
「何って……」
「だって会社ではいつも一緒だし、こうして食事もよく行くし、話す機会も多い。
あと何をしたいのかなと思って」
それは同僚としての付き合いじゃないか。
私は青野君の彼女として付き合って……付き合って……えっと、何をしたいのかと問われても―――。

「恋。恋したい、青野君と」
「それなら、もうしてるじゃん」
「え?」
トクンと胸が、期待が、跳ねる。
「だって葉山さん、僕のこと好きになっちゃったんでしょ。それって恋でしょ、片思いでも」
無邪気に笑う青野君を見つめながら、跳ねた想いがスーっと落下した。
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