青野君の犬になりたい
現在、ナンバー4の立場からどうやってナンバーワン、いやオンリーワンに上りつめたらいいのか。
だいたい青野君の好きなタイプも知らないし、
1番目から3番目までの彼女たちがどんな人なのかも知らなかった。
「まず情報を集めないと」
仕事の打ち合わせをしているような冷静さで英子がアドバイスしてくれる。
「情報?」
「情報を制する者がこの世を制するって言うでしょ。
青野君の彼女って言っても、現状あんたの押しかけ彼女でしょ。片思いみたいなものじゃない」
き、きつい。青野君と同じことを言う。的を射ている分だけ気持ちが消沈してうなだれる。
私はウエイターが運んできたばかりの白ワインを口に運び「まあね」とボソッと答えるが、
そんな声など届いていないかのように、
英子は「さてと、どうやって葉山七海という人の良さがだけが取り柄みたいな
普通の女を恋の勝者にするか、戦略をたてないと」と、一人あらぬ方向に視線を流し考え始めた。
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