青野君の犬になりたい
「1~3番までの彼女はどんな人か調べよう。
で、彼は彼女たちのどんなところが好きで付き合うことになったのか、
今はどれくらい密な関係なのか。1番はともかく、2番目、3番目の彼女でいいってことは、
それほどまでに彼のことが好きなのか、もしくはその逆。
彼女たちも彼に本気じゃないから別にどうでもいいのかもしれない。
そしたら戦う相手は1番目の彼女だけってことになるじゃない」

今日2人で見てきたのは、国境を越え愛し合うロマンチックな恋愛映画だった。
映画館で涙しながら胸がキュンキュンしていたのに、現実の私の恋はスタート地点で戦略会議か。
甘さとときめきに満ちた「恋」とはえらい違いだ。

「そんなこと、どうやって調べるの?」
「そうね―――」
英子が険しい表情のままたっぷり時間をかけて案を模索する。
そして発せられたのは、とても単純な方法だった。
「とりあえず本人に聞いてみたら?」
こんな回答ならそんなに考える必要なかったよね、と言いたくなったけど、
もちろん口には出さず「そうよね」と答えた。
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