青野君の犬になりたい
そんなの教えてくれるわけがないと思ったけど、
あっさり青野君は自分と彼女たちの関係を教えてくれた。
まず3番目の彼女は近所に住む22歳の女子大生。
犬と一緒に散歩している彼女とたびたび出会ううちに、顔見知りになったそうだ。
「大きくて、白地に茶色のブチ模様がある雑種犬なんだけど、可愛いんだよ。
犬も彼女もいつもとても楽しそうで、こっちまで幸せな気分になるんだ」と、
多分その犬に負けないほどの幸福感あふれる笑顔で言う。
そしてある日パン屋の前につながれ留守番していたその犬を見つけ、青野君が近づいた。
そこにちょうど店から出てきた彼女と会話を交わし、意気投合したらしい。犬の話で。
青野君がそんなに犬を好きだったことさえも私は知らなかった。
私だって犬はとても好きなのに。
それがきっかけで青野君と彼女と、ブチ―――この犬の名前はブチだそうだ―――とのデートが始まった。
自然に付き合うようになったけど、彼女にもアメリカに彼氏がいるので、
別に青野君に他にも彼女がいるのは構わないらしい。
平和的合意だ。
あ、予備知識として彼女はアメリカ人と日本人とのハーフだという。


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