青野君の犬になりたい
オフィスに戻る。
私たちはコンサルティング会社のウェブマーケティングという部署に所属している。
10人のスタッフが一塊になった席の、私と青野君はななめ対角線上に座っている。
それぞれの席はパテーションで囲われているけど、背を伸ばせば相手の顔は見渡せる。
明日から海の日を入れた3連休に夏休みムードが漂っていて、
定時の6時を超えると皆早々に「お先に」という挨拶とともに帰っていった。
私も今日中に終えるべき仕事は済んだので帰ってもよかったのだけど、
青野君が残っていたので気になって居残ってしまった。
8時になると青野君が立ち上がった。
「あれ、葉山さん、まだいたんですか? 僕が最後かと思った」
「え、帰るの?」
「帰りますよ。なんかあります? といっても、もうお腹すいて手伝う余力ありませんけど」
「そう…じゃあご飯行かない? 私ももう帰るから」
いつもより緊張してそう誘った私に、青野君はいつものように「いいっすよ」と軽く返事をして
ショルダーバッグを肩に下げた。
私たちはコンサルティング会社のウェブマーケティングという部署に所属している。
10人のスタッフが一塊になった席の、私と青野君はななめ対角線上に座っている。
それぞれの席はパテーションで囲われているけど、背を伸ばせば相手の顔は見渡せる。
明日から海の日を入れた3連休に夏休みムードが漂っていて、
定時の6時を超えると皆早々に「お先に」という挨拶とともに帰っていった。
私も今日中に終えるべき仕事は済んだので帰ってもよかったのだけど、
青野君が残っていたので気になって居残ってしまった。
8時になると青野君が立ち上がった。
「あれ、葉山さん、まだいたんですか? 僕が最後かと思った」
「え、帰るの?」
「帰りますよ。なんかあります? といっても、もうお腹すいて手伝う余力ありませんけど」
「そう…じゃあご飯行かない? 私ももう帰るから」
いつもより緊張してそう誘った私に、青野君はいつものように「いいっすよ」と軽く返事をして
ショルダーバッグを肩に下げた。