青野君の犬になりたい
うん、と返事するまもなく電話が不通になり、そして5分後には電話がかかってきた。
「借りれたよ」
「本当?」
「シボレーのバン」
私よりも嬉しそうな青野君の声が響く。
「え、外車のバン?」
ホッとしたのもつかの間、不安が広がる。
左ハンドルの大型車なんて運転したことがない。
ぶっちゃけ普通車の運転でさえ危なっかしい。
保護した犬たちを乗せて事故るわけにはいかないし、人様の車に傷つけるわけにもいかない。
と、そのとまどいが伝わったのか、青野君が
「大丈夫。僕が運転していくよ。で、譲渡会も手伝うから」と、
神様みたいなことを言う。
「本当?」
「いいよ。どうせデート、ドタキャンされて時間空いてるし」
「有難う。青野君、大好きよ」
あはは、と短く笑い、青野君は「知ってるよ」と言って電話を切った。

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