青野君の犬になりたい
「車が4台って、お金持ちなの?」
「うん。結構な資産家」
「へえ」

資産家の娘で、アメリカにボーイフレンドがいて、
シボレーのバンに犬を乗っけてドライブする22歳の女子大生。
要約したイメージは、金持ちの遊び人。ねたみも含めて印象は悪い。
それにしても青野君の運転はスムーズだ。後ろに乗っかっている犬たちも落ち着いている。
信号で滑らかに車を止める。
青野君は後ろを振り返り、ケージの中からこちらを見つめる犬たちを見て笑みをこぼす。
それは悔しくなるほどに、私に見せる笑顔よりも数段優しさに満ちていた。
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