青野君の犬になりたい
譲渡会での青野君は人にも犬にも親切でよく気が回り、あっという間会の人にも犬にも馴染んでいった。
まるでもともとワンフレンドの会のメンバーのようだ。
毎回「できればすべての犬たちがいい家族に巡り合えますように」と祈っているが、
現実はなかなか厳しく、特に5歳を超えた中・大型犬は難しい。
けれど今回は、そんな中・大型犬も含めて8頭もの里親が決まりそうだった。
「どうもありがとう。あなたのそばにいた犬たち、4頭も新しい家が決まりそうでよかった。
青野君の君のおかげだわ。助かったわあ」
夕方になって譲渡会がお開きになると、
犬以外にはあまり愛想の良くない武田さんが、珍しく朗らかな声で青野君に話しかけてきた。
「いえ、こちらこそお手伝いできてよかったです。また参加させてもらってもいいですか?」
「もちろんよ! 手伝ってもらえると嬉しいわ」
武田さんにこんな風に接してもらうまでに私は3カ月くらいかかった。
青野君はするすると人も犬も引きつけていく。
< 34 / 125 >

この作品をシェア

pagetop