青野君の犬になりたい
彼女の犬が茶太郎に近づき、顔の周りをふんふんと嗅ぎ始めたので、茶太郎も立ち上がった。ついでに私も腰を上げた。犬も彼女同様、フレンドリーだ。
おなかやらお尻やら耳やら、2頭は互いにあっちゃこっちゃ嗅ぎまわっている。
彼女の犬には丸いブチが入っている。
もしかして―――と考えを巡らせることもなく、「彼女はこの間車を貸してくれたカンナ。この子はブチ」と紹介された。
「こんにちは。花井カンナです」
「葉山です。この間は車、どうも有難うございました。本当に助かりました」
「いいの、いいの。青野君にはいつもブチがお世話になってるもの」
ね、ブチ、と声をかけられ、ブチは「なに?」という顔でカンナさんを見上げたが、すぐに茶太郎に顔を戻した。
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