青野君の犬になりたい
ようやく草の探索に気が済んだらしいブチと茶太郎が顔を上げ、私たちは再び歩きだした。
青く晴れた秋空の下では複雑な関係も心境も、カラリと湿度を拭い去る。
でもそれは秋空のせいだけではなく、カンナさんの明るさのせいでもある。
「気になるけど私が後入りしたわけだから。実はすぐに私のものになるって思ってたのよね。だいたいなんでも新しい方が勝つじゃない? 新鮮だから」
大きな瞳を茶目っ気たっぷりにくりんと回す。
なかなかに傲慢な発言だけどなぜか嫌な感じは全然しない。
「でも違った。いつまでたっても3番目。かといって他の誰かに熱くなってる感じもしないし。心に隙間を作ってるっていうか、近づいても近づいてもぺたってくっつかない。どうやっても薄い隙間が埋まらないのよね」
なんでかなあと、最後は独り言のように小さな声になった。
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