青野君の犬になりたい
「カンナさんみたいなパーフェクトな人でも隙間を埋められないなんて。青野君て、おかしいですよね」
え?という顔をしてから、カンナさんは「アハハ」と口を全開にして笑った。
奥にのぞく歯までも白くきれいにそろっている。
「恋敵をそんなに褒めてくれるなんて、葉山さん、いい人ね」
「恋敵と認めていただいて光栄ですけど、彼女のうちには入ってない……と思うんですよ」
いったいカンナさんにあと何が加われば青野君の心を埋めるのだろう。
わからない。まったくわからない。
さらに私がカンナさんに勝るポイントなんてもっとわからない。
一旦下におろした視線を隣に並ぶカンナさんに移すと目があった。
「ねえ、もしかして今晩、青野君と会う約束してる?」
「いいえ、別に」
昨日は一緒でしたけど、とはもちろん言わない。
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