青野君の犬になりたい
「そっか。じゃあ、もう一人の彼女かなあ」とカンナさんは独り言のように小さく言うと、「今晩、うちでご飯食べようって誘ったら、いいけど今日は泊まれないよって断られちゃったの」と、私に顔を向けた。
今日は泊まれないよって、なかなかに刺激的なことを言う。
泊まるってそういうことよね、犬の私と違って。
想像したくないけど、しちゃうのは仕方ない。
彼が彼女の家に泊まるなら、そりゃ、するわよね。
カンナさんとどんな風に抱き合って、もう一人彼女とどんな風に体を合わせるのだろう。
そんなこと考えたくないのに考えちゃうと、胸がキューっと絞られるようだ。
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