青野君の犬になりたい
カンナさんとぶちが帰って行った。
茶太郎を連れて青野君も一緒に。
青野君に腕をからめるカンナさんのしぐさはとても自然だった。
「幸せになるのよ」と茶太郎の頭をなでると、ぺろりと顔をなめて返してくれた。
2人と2頭を見送った後、武田さんがよかったねと、私の肩に手を置いた。
「だけど、青野君て七海さんの彼かと思ってたんだけど違ったのね。あんなにきれいな彼女いたなんて。青野君もやるわねえ」
「本当ですよね」と笑った分だけ寂しさが心に落ちる。
あんなきれいな彼女がいる上に、さらにまだ他にも彼女がいるんですよ。
でね、一応私もその末端にいるんですけどね、と声に出さずに説明を加えてあげる。
青野君が去って10分もたたないうちに「ナナ、9時には戻るから留守番してて」というメールが届いて、そういえば青野君に部屋の鍵を返し忘れていたことに気が付いた。
また犬か、という残念な気持ちより、また今晩も会えるという喜びの方が勝る。
恋した側が服従の徒となるのは男女の鉄則だ。
私は『ワン』と書いて返信した。
茶太郎を連れて青野君も一緒に。
青野君に腕をからめるカンナさんのしぐさはとても自然だった。
「幸せになるのよ」と茶太郎の頭をなでると、ぺろりと顔をなめて返してくれた。
2人と2頭を見送った後、武田さんがよかったねと、私の肩に手を置いた。
「だけど、青野君て七海さんの彼かと思ってたんだけど違ったのね。あんなにきれいな彼女いたなんて。青野君もやるわねえ」
「本当ですよね」と笑った分だけ寂しさが心に落ちる。
あんなきれいな彼女がいる上に、さらにまだ他にも彼女がいるんですよ。
でね、一応私もその末端にいるんですけどね、と声に出さずに説明を加えてあげる。
青野君が去って10分もたたないうちに「ナナ、9時には戻るから留守番してて」というメールが届いて、そういえば青野君に部屋の鍵を返し忘れていたことに気が付いた。
また犬か、という残念な気持ちより、また今晩も会えるという喜びの方が勝る。
恋した側が服従の徒となるのは男女の鉄則だ。
私は『ワン』と書いて返信した。