青野君の犬になりたい
8人用のテーブルとホワイトボードだけがあるこじんまりとした会議室に2人。
向かい合って座るものと思っていたのに、青野君が右隣に並んで座る。
「この方がファイル見やすいから」
事務的ではない理由を想像したことが恥ずかしくなる。
2人の間にファイルを置いてページをめくっていく。
売り上げ上位10位までの同業各社の業績や主力商品、月ごと、週ごとの販売実績、キャンペーンなどのデータがまとめられており、それに基づき様々な視点から検証が盛り込まれている。
これをデータにして、さらに直近の情報を追加しなければならない。
「単純に5社ずつ分ければいいんじゃない?」と雑に提案すると、「まあ、それが一番やりやすいかなあ」とファイルをめくりながら青野君も同意した。
「新しい情報も盛り込むとなると、これ、結構時間かかっちゃいそうね」
「うーん、かもなあ」
「今週中かあ」
「金曜は遅くなりたくないんだけどな」


< 78 / 125 >

この作品をシェア

pagetop