青野君の犬になりたい

ようこそ僕の彼女に

「4番目?」
「うん。僕、もう3人彼女いるから。もし付き合うなら葉山さんは4人目」
「それって3股しているってこと?」
「3股って―――」
青野君がフッと唇の端をあげたので、私は下品なことを言ってしまったかと恥ずかしくなった。
「ごめんなさい」
「いいよ、その通りだから。3股してる。で、葉山さんが4股目」
容赦ない言葉が返ってきた。
告白した相手から君は4股目だなんて、正面から言われた悲しい女がほかにいるだろうか。
「その彼女たちは、青野君に他にも彼女がいるって知らないの?」
「最初の彼女以外は知ってるよ」
「え! それでもみんな平気なの?」
「だから彼女でいるんじゃないの?」
「そんなのおかしいわよ。自分の彼に自分以外の彼女がいても平気だなんて」
思わず力んで声が大きくなった。
でも青野君はこれっぽっちも動じずに、「それは僕らの事情だから」と少し笑った。
ぴしゃりとはじかれた。
僕ら―――青野君と彼女たちに。
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