青野君の犬になりたい
それから私たちはカジュアルなイタリアンレストランに入った。
青野君が「はい、これ」と、仕事のファイルを渡すのと同じ感じで小さな包みを差し出したので、とりあえず受け取ってからまじまじとその包みを眺めた。
その時間が長かったのか、「プレゼント」と青野君が説明した。
私は包みからがばっと顔をあげて、青野君を見た。
「プレゼント？」
「誕生日プレゼント。なんでそんなに驚くの？」
「まさか4番目の彼女の身で貰えるとは思っていなかったから。感激」
ブルーの包みをそっと息を飲むようにして開けると、２連のシルバーのショートネックレスが現れた。
指で持ち上げると、ライトの光に当たってきらきらと揺れた。
首もとに当ててみる。
「似合うよ。その首輪」
「首輪？」
「そう、ナナが逃げ出さないように。愛犬に首輪は必要でしょ」
にやっと青野君が笑う。
< 85 / 125 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop