青野君の犬になりたい
「ごめんなさい、余計なことばかりいって」
「謝ることじゃないよ。一般的にはおかしなことだと思うし。
で、そんなおかしなことになっても葉山さんは僕の彼女になりたい?」
自分の彼女の末端にもう一人私を付け加えることなど、青野君にとってはどうでもいいことなのだ。
そんな男と付き合って何になる。
ありえない。
それも4番目だなんて、絶対にありえない。
中生ジョッキを美味しそうに飲む青野君の滑らかな首筋を見ながら、
けれど私は「お願いします」と頼んでいた。
「また他の彼女作るかもしれないよ」
「つまり5番目の彼女――」
「だね。他に誰かが抜けたら番号は変わるけど」
まるでゲームの説明をするように言う。
「番号は出会った順てこと? それとも好きな順?」
「出会った順。みんな好きだし」
「みんな好きってことは、結局だれのことも本気で好きじゃないってことじゃないのかな?」
「みんな、好きだよ」
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