青野君の犬になりたい

「ブルーフィールドって会社知ってる？」
「もちろん。国内外にリゾートホテルを展開している会社じゃない。私も１度泊まってみたいけど、高いんだよねえ。で、ブルーフィールドと青野君と何の関係があるの？」
「ブルーフィールドを日本語に翻訳してみて」
「日本語に？　ブルーが青でフィールドが野で……青い野……青野？　え、まさか」
「そう、草汰はブルーフィールドのご子息ってわけ」
「うそでしょ」
「まじです」
「そんなご子息がなんで私の同僚なの？」
「わからないけどほかの会社で社会勉強中なんじゃない？」
企業の息子がある年齢になるまで他企業で働いて経験を積むことはよくあることだ。
そうか、紗子さんが言っていた「おかみ」って「女将」だったんだ。
社長夫人のことをそうたとえていたわけだ。
それにしても青野君がブルーフィールドの御曹司だなんて。
ますます青野君が遠のいていく。