【短編】バレンタインのお返しに。
わたしは、当たりだったと思う。
仕事任せっぱなしの最低な先輩もごろごろいる中で、面倒見がよくてユーモアの
センスもある、頭のきれる瀬戸内先輩が、わたしの指導係でよかった。
わたしも後輩を持つ立場になった今でも、先輩はわたしになにかと手を焼いてくれているのだから。
ふわーあ、とあくびをした先輩は、パソコンをぱたりと閉じて、珍しくうつ伏せになる。
「先輩?」
「んー?」
「疲れました? コーヒー買ってきましょうか」
「うん……」