冷徹ドクター 秘密の独占愛


中に一歩足を踏み入れると、歯科医院独特の薬品臭に包まれた。


「こんにちは」


入り口を入ると即、受付にいた白衣のスタッフが挨拶をしてきた。

私と同じくらい、もしくは少し年下だろうか。

長そうな髪を頭の上にお団子にまとめ、くりっとした目が印象的な、童顔の可愛らしい顔立ちをしている。

受付カウンター越しだけど、立ち上がった姿は小柄な感じに見えた。


「すみません、面接をお願いしました浅木と申します」

「あ、はい、ではお掛けになってお待ちください」


靴を揃えて脱ぎ、スリッパをお借りしようと受付カウンター横に設置されている収納を見て一瞬ギョッとしてしまった。

用意されているスリッパの数が多い。

今まで働いていた医院では大人用が五セット、子ども用が二セットだった。

だけど、その倍以上の数が用意されている。

入った待合室も、ざっと見て大人十人ほどは待つことができる椅子やソファが設置されていた。

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