冷徹ドクター 秘密の独占愛
「えっ、同級生?! 市野さんと、副院長が?」
想定外の返答につい声がでかくなってしまう。
そんな私の反応に特にリアクションもなく、市野さんは「そうそう」と言いながらまた手元に視線を落とした。
「じゃあ、友達ってことですか、幼馴染み的な」
「まぁ、そんな感じかな。付き合いは大分古くからってとこ」
「そうだったんですね……え、ちなみに二人って何歳なんですか?」
「歳? 今年三十になる。あ、律己は確か四月生まれだったかな、たぶんもう三十路こえたな」
今年、三十歳……。
てことは、私の二個歳上になるってことか。
「え、でも、市野さんと副院長が同級生だったとか、かなりビックリなんですけど……」
「そう? まぁ、そうか。友達の家で雇ってもらってるわけだもんな」
「じゃあ市野さんは、副院長がいずれ院長になるし、ここで働きたいって思った感じですか? 気もしれてるし、みたいな」
「いや、俺が勤め出した頃は、律己は跡継ぎの予定じゃなかったから」