冷徹ドクター 秘密の独占愛
「ギスギス?」
「何か、二人見てて感じない? 院長がやたら律己に気使ってる感じとか、アイツが院長にツンツンしてる感じとか」
そう言われれば、副院長が院長に話しかけていく姿は今まで見たことがない気がする。
逆に院長が話しかけた時、副院長の態度が冷たいというか、おざなりというか。
普段よりも辛辣な空気感はどことなく感じ取っていた。
院長なのに、親子なのに、だ。
「確かに……言われてみれば。どうしてなんですか?」
「長男が亡くなって、院長が急に律己頼みになったのが原因ぽい。昔、二人で飲んだ時、そんなこと愚痴ってたから。手のひら返したみたいに、とかって」
副院長ってお酒飲むんですか?というのも聞き返したくなったけど、そこはひとまず置いておく。
「え……じゃあ、副院長って、ここを継ぐのが嫌だって、そういうことなんですか?」
「いや、そんなことはない。むしろ逆」
「逆?」
「跡を継ぎたいって思ってたけど、院長はアイツを必要としてなかったらしい。昔はね」