冷徹ドクター 秘密の独占愛



石膏を注いで診療室に戻ると、ユニットに座る患者さんは十六時予約の人たちに総入れ替えされていた。

二人のうち一番に掛ける患者さんは、お母さんに連れてこられた未就学児の女の子。

幼稚園の可愛い制服姿でユニットに座っている。

牧先生が担当で、今日は確か奥歯の乳歯を虫歯治療する予定だ。


二番の患者さんは全くの初診。

どこかが痛いらしく、診てほしいと昼休みに電話をかけていた急患だ。

どうやら副院長が診るらしく、問診を取り始めていた。


「パントモ撮ります」


手を洗っていると、早速初診が撮る全体のレントゲン撮影の指示が出される。

森さんが「こちらへどうぞ」と患者さんを誘導していくと、問診票のついたカルテを手に副院長がこちらに向かってきた。

慌ててペーパータオルを引き抜き手を拭く。

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