冷徹ドクター 秘密の独占愛
患者さんの顔にタオルを掛けていると、ユニット備え付けのPCモニターに転送されたパントモ画像を見に副院長がやってくる。
気にせずライトを引っ張り口腔内に向けて調整していると、いきなりツンツンと肩を突かれた。
急なことに、思わずビクッと肩を揺らしてしまう。
振り向くと、モニターに映し出されたパントモ画像を指で示した。
無言で映し出された縁下(えんか)歯石を指摘する。
「ポケット深かったらSRP(エスアールピー)していく」
「わかりました」
返事が若干上擦っていた。
過剰反応かもしれないけど、肩を突かれて呼ばれたことは今まで一度もない。
たったそれだけのことなのに意識しすぎの自分に恥ずかしくなる。
気を取り直して「開いてください」と声を掛けて見た口腔内は、稀に見る歯石の着き具合だった。