冷徹ドクター 秘密の独占愛
ちょっとちょっと……規模大きいんじゃないの、ここ。
借りてきた猫状態でちょこんと椅子に掛けて面接の時を待つ。
不安が募る中、診療室へと入る扉の向こうからは、虫歯の治療だろうか、時折エアータービンの音が聞こえてくる。
アシストをしているスタッフの「楽にしてください」という声が聞こえた。
その他にも別の治療をしているエンジン音が聞こえ、中には数人の患者さんがいることが物音だけで予想できる。
同じ時間に同時に数人を治療するなんて、今までの医院ではほとんど経験がない。
それは要するに、ドクターが数人いる、もしくは一人のドクターが同時刻の予約で治療を同時進行しているということになる。
イコール、アシストをする衛生士や助手も人数がいるということになるわけで……。
来る場所を間違えた。
面接が始まる前からすでに尻込み状態に陥る。
そんな時、勢いよく診療室のドアが開け放たれた。