冷徹ドクター 秘密の独占愛



「律己先生……あっ、危なっ」


こんなところで出くわしてしまった。

でも、そのことに驚いている間もなく瞬時に体が動いていた。

だって、思わず駆け出してしまうほど足元が危なっかしい。

ふらついて今にも転ぶんじゃないかと思える状態に、咄嗟にその腕を掴んで支えてしまっていた。


「だ、大丈夫ですか?!」


職場の飲み会で飲まないのはこういうことか。

普段の完璧で隙を見せないようなキャラからは想像もつかない姿。

理由はこれだったのかと察する。

飲み出すとつい飲み過ぎてしまうのか、はたまた、ただ弱いだけなのか……。

どちらにしろ、飲むとこんな風になってしまうのかもしれない。


ハナミズキの街路樹の間、歩道に設置されているベンチにとりあえず座らせる。

項垂れた頭を上げた副院長は、目を細めて確かめるように私の顔を凝視した。

そして「お前か……」と呟く。

片手をベンチにつき体勢を保つと、もう片方の手で額を押さえた。

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