冷徹ドクター 秘密の独占愛
副院長の視線を横顔に感じる。
不思議と、いつもみたいに恐れることなく目を合わせることができていた。
「天職だって、私は思います。先生の仕事。あっ、ほら、他の先生たちも言ってますし、律己先生は凄いって。スタッフもみんな、同じです」
ズンと沈んだ暗い空気をどうにか変えようと、敢えて明るい口調で言ってみる。
加えてニッと笑って見せると、副院長はどこか不思議そうに私の顔をじっと見つめた。
酔っているせいか、いつもの厳しい表情が見られない。
初めて見る素のようなその顔に、吸い込まれるように見入ってしまっていた。
いつも直視できないから、こうして改めて見るとやっぱり息を呑むほど綺麗な顔をしている。
「天職、か……」
その呟きと共に、今、どんなことを思っているのだろうか。
それはとても計り知れない。
私から見たら、天職という言葉に偽りは決してない。
だけど、一スタッフからそんなことを言われても副院長は何も嬉しくないかもしれない。
むしろ、何も知らないくせに、軽々しく上っ面だけで言ったと思われてしまったかもしれない。