冷徹ドクター 秘密の独占愛
あんな話をした後だし、何となく気まずい気分にさせられる。
あれから慎が営業に来た時は、なるべく話さなくて済むようにと、上手いこと避けてやり過ごしていた。
また何を言ってくるかわからないし、出来るだけ二人きりになるのは回避したい。
急いで器具を洗い終え、超音波洗浄機にバー類を入れていると、注文を記入しながら慎がすぐ横へと立つ気配を感じた。
「何で電話、出てくれないの」
ここ最近、登録してない番号から何度か着信があったな、と思い返す。
それが、電話帳からすっかり削除していた慎の番号だったことを知る。
「……知らない番号、出ないから」
小声でそう返すと、慎は更に距離を縮めて近付いた。