冷徹ドクター 秘密の独占愛
昼休みも終わった、午後三時。
下村さんの「こんにちは〜」という声が聞こえ、そそくさと受付けへ向かう。
ちょうど靴を脱いでいる津田さんの姿が見え、受付けの内側から顔を出した。
「津田さん、こんにちは。お花、どうもありがとうございました! 飾らせていただきました」
「いえ……」
パンツのポケットから財布を取り出し、診察券を出す津田さんはボソッと返事をしながら会釈する。
「どうぞ、ご準備できましたらお入りください」
診療室入り口の扉を開けて声を掛けると、津田さんは俯き加減で中へと入ってくる。
「すごく綺麗な花束で驚きました。ガーベラ、やっぱり可愛いです」
「…………」
エプロンを着けながらいただいた花束の感想を伝えてみたものの、津田さんからこれと言ったリアクションはない。
今日は心なしか、元気がないように見える。
体調でも悪いのかと思いながら、それ以上の会話は諦め「では、少々お待ちくださいね」と待機してきた律己先生にバトンタッチした。