冷徹ドクター 秘密の独占愛



「……よし」


その日の診療終了後。

後片付けが終わった診療室で、一人カルテと睨めっこをしている。

夕方から診療室がバタバタと忙しくなり、書こうとしていた実地指導があっという間に溜まっていた。

明日受付けをする予定の森さんが、記入は明日でもいいと言ってくれたけど、明日も朝一から衛生士枠の予約が入っていて、手が空かないことが予想された。

そんなわけで、残業して書いて帰ることに決めた次第だ。


助手のみんなには先に上がってもらい、先生たちも帰った診療室はしんと静まり返っている。

消毒室にある滅菌器の圧が抜ける音が、やたら大きく診療室内に響いて聞こえた。


時刻は十九時半を回っている。

書き上げたカルテを定位置に戻し、診療室全体のチェックと消灯をして控え室へと戻った。

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