冷徹ドクター 秘密の独占愛



定時で上がれた日は帰って自炊もするけれど、残業して遅くなった日は何か買って帰ることが多い。

冷蔵庫の中の食材を思い出してみると、何か作るならスーパーに寄っていかないと大したものを食べれそうになかった。

でも、今日は買い物をして帰るのも何だかかったるい。

コンビニか何かテイクアウトをして帰ろうと決め、従業員口を一人出て行く。


外はすっかり夜の暗さに包まれていた。

階段を下りきり、駅方面へと向かって歩き出す。

その時、背後の方で何かが動く気配を感じ取った。


駅近とは言え、大通りから少し入った住宅地の路地は薄暗く、ところどころにある街灯が夜道をひっそりと照らしている。

振り返った暗い道の先、こっちを見て立っている人影と対面した。


仄かに灯る街灯の下、こちらをじっと見ているその姿にハッと息を呑んだ。

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