冷徹ドクター 秘密の独占愛
「……津田、さん?」
何でこんな時間にこんなところにいるのだろうか。
予約だった時間よりもかなり時間は経つし、帰り道とは思えない。
もしかして、どこか急に痛みでも出て来院したのかもしれない。
一瞬そんなことを思ってみたものの、一歩ずつ近付いてくる津田さんが放つ空気に、普通じゃない何かを感じ取った。
「あのっ、」
「赤いガーベラの花言葉……知ってる?」
「え……」
「……『燃える神秘の愛』だって。僕たちにぴったりだと思わない?」
これはヤバイやつだ。
それが確信に変わった時には、もう間近まで津田さんが迫っていて、自然と恐怖に身動きが取れない状態になっていた。
一歩踏み出して走り出せば逃げられる。
でも、体が動かない。