冷徹ドクター 秘密の独占愛
「それなのに……どうして病院なんかに飾ってるの?」
「あ、それはですね……せっかくいただいたお花なので、皆さんに見てもらったほうが――」
「僕は君に贈ったんだよ?! どうしてわかってくれないの?」
興奮したように大声を張り上げ、イライラしたように頭をガシガシと掻きむしる。
いつも診療室で見ていた人とはまるで別人の津田さんに、感じる恐怖は更に募っていく。
じりじりと目の前に迫る津田さんから距離を保つために、硬直してしまっている足で何とか後ずさりする。
だけど、その距離は広がらない。
「ここで君と出会ってから、ずっと見てたんだよ。これからあの家に帰って、一人で夕飯食べるの……?」
「津田さん……あの、冗談はそのくらいにして――キャッ!」
「冗談なんかじゃないよ!」
勢い良く両腕を掴まれ、本格的にまずい事態に背筋が凍り付いた。
目の前の顔が街灯の薄明かりの下、不気味な笑みを浮かべる。
「はっ、放して! 放してくださ――」
「何をしている」