冷徹ドクター 秘密の独占愛
「すみませんでした、ご迷惑を掛けて……ありがとうございます」
ペコリと頭を下げてお礼を告げる。
患者さん絡みといえ、私個人的な問題で手を煩わせてしまった。
申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「脅すつもりはないが、行方をくらまされたからには、またいつ姿を現わすかわからない」
「え……それって」
「つけられて、自宅が割れている可能性もあるってことだ」
「あっ……」
恐怖に怯える中、耳にした言葉が脳裏に蘇る。
『これからあの家に帰って、一人で夕飯食べるの……?』
住まいのあの部屋も、一人でそこに住んでいることも、津田さんはすでに知っている。
もしかしたら今から家に帰れば、付近で待ち伏せされているかもしれない。
でも、そんなことを言えば、また律己先生に迷惑を掛けてしまう。
「……大丈夫です。注意して、帰りますし、何かあったら近くに交番もあるので、大丈夫――」
「今日はうちに来るか」
「……えっ?」