冷徹ドクター 秘密の独占愛


「やっぱり、何かないと大きくは動いてくれないんですね、警察って……」


患者さんだと話した時、もしかしたら氏名や住所などの情報を提供してくれと言われるかと少し考えていた。

だけど、それを尋ねられることはなかった。


「現行犯で捕まるのが一番手っ取り早いが、それがあった時はそれなりのことがあった時ってことになるからな」


それは、津田さんがまた私の住まいに現われて、何かをしているとか、もしくは、直接接触して何かをされた時とか、そういうことだ。

早く安心できるように解決はしてほしいけど、それはそれでどっちも耐え難い。


「とにかく、あとは警察に任せて、しばらくは言われた通り一人でいる時間はなるべく作らないようにするしかないな」

「そう、ですね……」

「どうする? 何か食べてくか」

「えっ、あ、はい!」


急に話題がガラリと変わって、思わず返事をした声がでかくなってしまった。

そんな私を運転しながらチラリと見た律己先生は、反応が面白かったのかフッと表情を緩める。


普段の仕事中、微笑すら浮かべない律己先生がこんな表情を見せると、こっちまで自然と笑みが溢れてしまう。

いつまでも暗い気持ちに囚われているわけにもいかない。

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