冷徹ドクター 秘密の独占愛
一口目の釜飯は、三つ葉のいい香りが口の中いっぱいに広がった。
香ばしいお焦げと、食べ応えのあるホタテが食欲をそそる。
さっきまで気持ちが落ち込んで、また食欲がないような気がしていたのに、体は正直に食べることを求めていたのだと知る。
静かに箸を進める律己先生を見ていて、どうしてこんな風に親切にしてもらっているのだろうとふと疑問を抱いた。
学生時代に実は出会っていて、律己先生が私の存在を気に留めていてくれたのはわかった。
でも、一スタッフの私に、どうしてここまでしてくれるのだろうか……。
考えを巡らせていると、バチッと律己先生と目が合う。
「どうした?」と聞かれてしまい、勢い任せに口を開いていた。
「あの、先生は、どうして私なんかにこんなに良くしてくれるんですか?」
「……? 好きだからに決まってるだろ」
“何を言ってるんだ?”みたいな不思議そうな表情を見せたと思ったら、何の躊躇もなくサラリと答えが返ってくる。
あまりに平然としていて、言われた言葉を処理できなかった。
でも、思考よりも先に体が素直に反応して、勢い良くむせてしまう。