冷徹ドクター 秘密の独占愛
溺愛居候生活



診療が終わる一時間前、午後六時。

交代で取る夕方の休憩が終わったこの時間帯は、仕事後に来院するサラリーマンやOLさんたちの予約で毎日忙しくなる。

午前の診療で谷口さんが上がると、夕方の衛生士枠は全て私がこなさなくてはならないのもあって、下手すると十五分の休憩に行くこともできない日がある。

今日はP処よりC処の予約が多い夕方で、私の仕事は十八時から入っているスケーリングの患者さん一人で終わりだった。


「こんばんは。前回、下の歯のクリーニング後は特に問題ありませんでしたか?」


ユニットに掛けた患者さんに経過を尋ねる律己先生の後方に立ち、マスクをした横顔を見つめる。

プライベートな時間にあんな話をしたあとでも、診療室に入ればいつもの厳しい副院長の顔。

業務内容しか会話はしないし、私に対して微笑むこともない。

特別扱いは皆無だ。


でも、その方が私の方も仕事がしやすい。

周りにも何も悟られないし、私自身、変にテンパらないで済む。


「先に拝見しますね。背中倒します」

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