冷徹ドクター 秘密の独占愛
トレーからミラーを選ぶと、口を開けた患者さんの口腔内をぐるりとチェックしていく。
ミラーに光が当たるようにライティングしながら、患者さんを診る律己先生を盗み見ていた。
患者さんを見る真剣な眼差しと、丁寧な手付き。
近付いた時は緊張しちゃってどこを見たらいいのかわからなくなっちゃうけど、よく見ると睫毛が長いという発見をしてしまった。
チェアーに掛けた脚が長くて、今更ながら見惚れてしまう。
カチャっとトレーにミラーを置く音がして、ハッと口を閉じた患者さんを見た。
「では、今日は上の歯の方をクリーニングしていきますので、衛生士に替わります。じゃあ、上顎スケーリングで」
「はい」
カルテの記載をサイドテーブルで始めた律己先生に替わってチェアにつき、患者さんに挨拶と今日の予定を伝える。
ユニットを倒して「拝見します」と声を掛けようとしたタイミングで背中を指で突かれた。
「ポケット深い部位メモしておいたから、最後にペリオフィール入れておいて」
「あ、はい、わかりました」