冷徹ドクター 秘密の独占愛
離れる決意
昼間は外来の患者で溢れかえる大学病院の広い廊下も、夜になるとしんと静まり返っている。
薄暗く照明の落とされた待ち合いの長椅子に腰掛け、私は一人、自分の足元一点を見つめていた。
あのあと、警察に連行される津田さんと入れ替わるように救急隊員の人たちが駆け付けた。
おろおろする私の横で、負傷した律己先生の方がしっかり対応していて、そのまま救急車へと乗り込んだ。
救急車が向かった先は、偶然にも律己先生が協力医として通っている大学病院だった。
大した傷じゃないなんて律己先生は言ったけど、縫合が必要な怪我だった。
縫わなくてはいけないという外科の先生の話を聞いて、改めて自分を責める気持ちでいっぱいになった。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。
さっきからそればかりを考えている。