冷徹ドクター 秘密の独占愛
極甘Drはバックレを許しません
「ちょっと千ー紗ー、掃除機かけたいからどいて。邪魔よ、じゃーま」
リビングのソファーにだらぁと伸びていた私の足元を、掃除機が行ったり来たりする。
仕方なく足を上げると、母親は迷惑そうな目で私を睨んだ。
「だらだらして暇なんだから、あんたが掃除機くらいかけてよねー」
実家に帰って二週間近くが経った。
お風呂やご飯が勝手に用意される快適な生活を送る私は、完全にダメ人間街道をまっしぐら。
帰ってきて数日は歓迎モードだった母も、一週間を過ぎた辺りから私をちょうどいい“家事手伝い”として使っている。
「あー……暇だ……」
「だから、掃除してってば!」
東條歯科医院を離れても、もうすぐ二週間。
早退したあの日、律己先生がまだ診療室にいる時間帯にお世話になったマンションを一人訪れた。