冷徹ドクター 秘密の独占愛
「もうっ、何言ってんですか!」
思いもよらぬ言葉を仕掛けられて一気に赤面してしまう。
意地悪を言って私を困らせた律己先生は、「だから、ほら開ける」と顔を近付ける。
更に上をいく恥ずかしさに負けて口を開けると、ふざけていた表情を一瞬にして消し私の口の中を覗き込んだ。
「左下四番のとこだな……カリエスにはなってなさそうだが、ちゃんと見てみないとわからない。明日、やり直してやるよ」
「え、律己先生が?」
「俺じゃ不満か」
「いえ、不満なわけ! じゃあ、お願いします……」
毎日、律己先生の治療はそばで見ているけど、自分がそれを受けることになるのは考えたことがなかった。
また改まってしっかり口の中を見られてしまうことに、やっぱり恥ずかしい気持ちは消し去れそうになかった。